- 旧木下家住宅(旧又野家住宅)
その2 修復保存経過

旧木下家住宅(旧又野家住宅)は近代の生活様式を現在に伝える貴重な遺産としての国の登録有形文化財に 指定されているので、修復に際しては耐震性の確保、防火、防犯にも留意して工事が行われました。

工事概要



構造・規模  (主屋): 木造ツシ二階建
       (土蔵・納屋):木造2階建
       (管理棟):RC造2階建
延べ床面積:506.57u
設計・監理:兵庫県神戸県民局
      神戸大学建築史研究室
      神戸文化財研究所
施工者:中島工務店・栄光園芸
主屋他工事期間:2006年12月〜2009年3月
外構・園路整備:2009年4月から10月




2008年12月20日 見学会にて


見学会の様子

屋敷の中には入れませんでしたが、
外側から詳しい説明をしていただきました。
第一回 現地説明会:11:00
第二回 現地説明会:14:00


主屋の屋根修理工事、木工事がほぼ完成し、左官工事が仕上げにかかっている段階です。
修復の基本はやむをえないところを除き、当初のままに修復するという方針で貫かれています。


洋間(応接室)
マントルピースの左側の大理石の色が違うのは壊れていて同じ物がなく やむなく色の違うものを使用せざるを得なかったとの足立先生の説明です。(又野氏)
床は70年経ってもビクともしていない。
角型の照明器具も昔のままだそうです。


中庭より茶室を見る。
樋は銅になっているが戦時中は物資統制のため銅は入手できなかった。(←又野氏)
(茶室のある家は素敵ですね。
あこがれを持って見学しました。)



作業の様子は詳細に記録に残されていきます。



とても凝った細工の鴨居
(以下2枚含めて又野氏撮影)


天井裏は建設当時の材木が!


「2007年補修」の刻印
 いつまでもこの住宅が
健在でありますように!


この建物が建てられた時期は、もうすでに戦時下の統制が行われているときで、そんな中での 建設であるので資材の調達には苦労されたあとがあるとの説明でした。
東棟の台所周り、洗面室、浴室は旧状に大きな変更が加えられていたところもありましたが、残された設計図と痕跡調査から 復原がなされました。
また弱体化した基礎のジャッキアップなどの保存修復工事もなされました。

外構、庭、主屋、付属棟まで完全な 形で旧状を留めていて、阪神淡路大震災に激滅した県下の近代和風住宅の発展を今に伝える建物として 貴重なものになっています。
当時のままでという修復方針から、玄関の靴箱、ソファ、応接室の入り口の帽子掛けのフックにいたるまで古い元のままのものが 使われました。

修復途中の見学は今回が最終とのこと。
見学会にはご近所の方々も多く訪れ、この大きなお屋敷を感慨深く見ておられたのが印象的でした。
そしてこのお屋敷が地域の皆さんの大切なものだったのだと改めて感じました。

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