諏訪子 永遠に

2008年4月10日 早朝。
国内最高齢の王子動物園の
インド象 諏訪子が永眠しました。
1943年(昭和18年)生まれの65歳。
人間にたとえると100歳を越える長寿でした。
    

 

神戸王子動物園では4月3日〜4日恒例の桜の通り抜けが行われました。
昼間の動物園の案内があり諏訪子の具合が悪いので会えませんと書いてありました。
高齢のこともあり、心配になりました。

---♪ 諏訪子が神戸に来た日 ---

諏訪子という名前は諏訪山動物園からきています。
1950年諏訪子が7歳の時に、王子動物園の前身である
諏訪山動物園に他の多くの動物達と一緒に
船でやってきました。
船から吊り下げられて降ろされる光景を
覚えておられる方がおられました。

--- ♪諏訪子 王子動物園へ ---

翌年1951年、王子動物園が開園。
この時の有様は今も語り草になっています。
動物達の引越しはトラック延べ30台で行われましたが
諏訪子と同じくインド象の摩耶子はトラックでは運べませんでした。
そこで晴れ着をまとって市街地を行進して
諏訪山から王子へと移動しました。

--- ♪諏訪子 市電に驚く ---

諏訪子たちが歩く道筋は大勢の人たちが集まりました。
そのとき、市電の音に驚いたのは諏訪子と摩耶子です。
ちょうど布引停留所あたり(今の新神戸あたりでしょうか。)で
2頭が大暴れ。
消防隊などが駆けつけたそうです。
1956年に摩耶子が亡くなり、1957年(昭和32年)後の
伴侶となる太郎が来園。
子宝には恵まれませんでしたが仲は睦まじかったそうです。

--- 諏訪子 悲しい出来事 ---

1994年長年連れ添った太郎が亡くなりました。
1995年恐ろしい揺れの阪神淡路大震災が起きました。
どんなに心細かったことでしょう。
それから諏訪子は外に出ることがなくなりました。

外に出ることがなくなった諏訪子は象特有の穴掘りをしなくなったため爪が伸び放題。
足も運動しないのでひどい状態になっていました。
爪を切るのを嫌がる諏訪子でしたが飼育員の皆さんの努力で箒に隠したのこぎりで 爪を切ることに成功!
    

 

敬老の日、諏訪子は主役です。。
たくさんのりんごやバナナ、かぼちゃのプレゼントが届きます。
豪快に食べる姿に子供達は大喜びです。
体重4トン、エサは約100キロをペロリと平らげていました。
しかし2008年の初め頃から、だんだん起き上がるのが難しくなり 床ずれができ、とうとう食事も取れなくなったのです。

--- 諏訪子のお別れ会 ---

そんな諏訪子が亡くなってしまいました。
この知らせは全国を駆け巡りました。
「国内最長寿のインド象 大往生」
王子動物園は4月19日午前10時からお別れ会を開きました。
朝から大勢の市民が駆けつけ、園長の弔辞、飼育員の皆さんの 思い出話が続きます。
    

 

記帳はこの日だけで4,700人を数え、手紙や弔電も多数寄せられたそうです。
涙する方々も多かったです。
市民と同じように被災した諏訪子。
まるで身内のように思えると語る人もいました。

動物園に来ると諏訪子はどうしているかと必ず皆は象舎を覗いていました。
外に出ることのなくなった諏訪子は暗いオリの中でじっと優しく私達を見ていました。
諏訪子が元気でいると安心しました。
動物園に行ったと聞くと誰彼ともなく諏訪子は元気だった?と尋ねるのでした。
    

 

神戸王子動物園に長寿日本一の象がいました。
その名は諏訪子。
諏訪山動物園から歩いてきました。
優しい目をした穏やかな諏訪子はいつまでも忘れられない家族です。

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