神戸散策

谷崎「細雪」の倚松庵

谷崎潤一郎はここに昭和11年11月から昭和18年11月まで住んでいました。


もとの「倚松庵」は現在地より南へ150mくだったところにありましたが、住吉川右岸工事のため神戸市が平成2年7月に移築しました。

「倚松庵」この「松」はこの地に松が多いということもありますが、またこれは松子夫人のことでもあるのです。 この家で彼は松子夫人や彼女の妹、重子、信子らと暮らしていました。
細雪はその暮らしからヒントを得た小説でした。


この額の絵は松子夫人と小説のモデルになった彼女の妹達です。
部屋の中はいたるところ小説の引用があります。
それはこの部屋そのものが舞台です。
部屋に入り洋間のソファにすわるともうそのまま細雪の世界。
ソファにはこの倚松庵の特集を載せてる雑誌がおかれていてそれを読むとなお、はっきりと情景がわかります。
本当にこの家は冬あたたかく、夏は涼しい。
どんなに暑い時でもこの家にくると涼やかな風がす〜っとはいってくるのです。
住吉川沿いを歩いて、ちょっと疲れてもここで休んでいると
さわやかな気分になれます。



昔からの日本家屋のよさと谷崎好みの洋間と不思議にマッチしてステキな空間を作り出しているこの倚松庵。

いつ行っても玄関の四季折々の花が私を迎えてくれて、まず入口からホットする瞬間です。

洋間の隣のダイニングは使われていたままのテーブル、椅子がおかれワインとチーズで食事を楽しむ谷崎家の話し声がきこえるよう。
二階にあがると庭が見渡せます。
庭の植木も当時のままに配置されており、夏の夕方は管理人の方が水をまいておられました。


住吉川を歩き、この家にきて一休みするのが私のこの上ない贅沢な時間なのです。
それにしても松子さんは美人だなぁ。


開館時間/午前10時〜午後4時
開館日/土曜日、日曜日(年末年始除く)
入館料/無料