神戸調査隊記録

 - 海を渡った新幹線 ー 台湾新幹線  - --  


 
れはこの船から

始まりました!

2004年5月15日 土曜日の昼下がり

見慣れない1隻の貨物船が、タグに押されて

神戸港第4突堤に近づいて

接岸しようとしていました。

 
船の名前は

"POSEIDON TRIUMPH"

なんとも印象的な名前の船でした。


 
ここ4突は客船は接岸しますが

このような大きな貨物船が接岸することは

珍しいのです。

家に帰り検索すると、なんとこの船は

新幹線などを運ぶ船だと判明しました。

それから2005年9月まで続く新幹線輸送の

始まりだったのです!!!


これは日本の新幹線が初めて海外に輸出されるプロジェクトでした。

「日本連合」7社…三井物産梶A三菱重工梶A鞄月ナ、川崎重工梶A三菱商事梶A丸紅梶A 住友商事鰍ゥらなる台湾新幹線株式会社が2000年に受注。

日本の700系のぞみを元に設計され、台湾高速鉄道「700T型」と名づけられました。

人々が集中する台湾西側の平野を南北に縦断。
台北ー高雄の345KMを90分で結びます。

初めて"POSEIDON TRIUMPH"が4突に接岸した日は、折りしも神戸祭りが始まっていました。

翌16日は雨の神戸祭りとなりました。

 

日曜日はポセイドンへの積み込みは
なかったようです。

ひっそりと祭りの間、神戸港4突に停泊していました。

そして2004年5月18日、初の台湾新幹線を載せてポセイドンは神戸港を出港しました!


台湾新幹線は完成車両全360両(12両1編成ー30編成)
製造は川崎重工業、日本車両、日立製作所。
積港は神戸(兵庫県)、豊橋(愛知県)、下松(山口県)
揚港は高雄(台湾)

2004年5月〜2005年9月
1編成(12両)ごと30航海
台湾新幹線
先頭車両の長さ:27M
中間車両の長さ:25M

"GAIA TRIUMPH","POSEIDON TRIUMPH"を中心に海上輸送。

POSEIDON TRIUMPH
150トン吊12,000DWT重量物船
載貨重量トン:12,214トン
全長:117メートル
全幅:21メートル

 

2004年9月1日。
ポートライナーの中からも見えました。
第5突堤にポセイドン!
はしけにたくさんの新幹線を載せて、ポセイドンに積み込んでいました。

 
ちょうど台風の強風で、神戸港一体は大きな被害がでました。

 
ポートアイランドでも敷き詰められていたレンガブロックが風で吹き飛ばされてしまうという大きな被害がでました。

また海岸通りの2号線では高潮で道路が冠水。

毎週のようにやってくる台風。

高潮対策が急がれます。


2005年1月26日
またまた目撃することができました。

新幹線運搬船はいつ来るかまったくわからず、目撃情報が寄せられると ワクワクです。

しかし、神戸調査隊は新幹線の製造工場周辺にも出没し、その船積みが近いことを 察知するのでした。

はしけがたくさんポセイドンの横につながっています。
はしけの中には、おぉ〜たくさんの新幹線!

 
はしけが離れないよう押してがんばるタグ

 
六甲山を背景に

 
この時はGAIA TRIUMPHでした。

 
クレーンの操縦席はここです。

この台湾新幹線はもともとはドイツ・フランスの欧州連合が受注を獲得していました。

ところが受注まもない1998年6月3日に起きたICE(ドイツの高速列車)の大きな脱線事故。

続く1999年9月21日の台湾大地震により、日本のJRの早期地震検知警報装置ユレダスに 台湾の関係者は注目しました。

そして欧州連合との契約が成立していたにもかかわらず、その契約を破棄し台湾側は欧州連合に違約金を支払い台湾高速鉄道の受注権が 日本の新幹線に移ったといういきさつがありました。

もともとの計画では軌道と機関車はドイツ製、客車はフランス製で設計が進められて いました。

 
以下式典の様子。撮影はTOMさん

そしてついに日本からの最終の積み出しの日がやってきました。

2005年11月1日、最後の8両が神戸から船積みされました。

最後の船は、やはりあの船、初めて新幹線を積み出した"POSEIDON TRIUMPH"。

 
大空に放つ風船が用意され。

関係者40人を招いての式典がありました。

最後の先頭車両。

風船が空を舞いあがります。

 
神戸の空に風船が空高く。

 

当初2005年10月開業予定だったところが韓国のゼネコンの手抜き工事が発覚し、 また日欧混合システムのため混乱が生じ2006年10月に延期、さらに遅れてその年の11月29日になって 安全上の理由により2007年1月に延期されるという大変な事業でした。

いろいろなトラブルを乗り越え、やっと2007年1月5日、午前7時、一番列車が台北県板橋駅を出発。
8時半に高雄市左営駅に到着。

しかし、コンピューターシステムの不調で1万8000枚の席の重複販売があり、結局 8便増便して走らせたということもあったそうです。

複雑な事情で完成したシステムということもあり、小さなトラブルは続出だそうです。
現在、運転士はフランス人。
台湾人運転士の養成が間に合わなかったとか。

これからもいろんなトラブルを解決していくことでしょう。


目の前で新幹線が船に積み込まれるのを見続けた台湾新幹線です。

無事故で安全で台湾の人々や台湾を訪れた人々を超特急で南北に運んでください。
日本の空より、神戸の空より祈ります。 2007.1.23記


台湾新幹線の概要
事業主体 台湾高速鉄路
総工費 約4600億台湾ドル(約1兆7000億円)
営業区間 台北ー高雄間
営業距離 約345キロメートル
最高時速 300キロメートル
走行時間(台北ー高雄間) 1時間半
一日の平均乗降客数
2008年1月目標
14万7000人
運賃
(台北ー高雄間の普通車・大人)
1460台湾ドル
(約5300円)
追記:2010.7.5
この貨物船をカメラと横浜散歩 横浜港で観る貨物船で、撮影され記事で取り上げられました。
感激です。ありがとうございます!

 

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