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阪急 岡本駅のすぐ近くに岡本南公園があります。
「桜守公園」とも呼ばれ、
毎年ここには笹部桜を初め、博士が手がけた美しい桜がところせましと咲き誇ります。 |
水上勉氏の小説「櫻守」は
岐阜県の御母衣ダム建設に伴う
桜の巨木の移植に尽力した
笹部新太郎博士(1887年〜1978年)
がモデルです。
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「ここ岡本南公園は、生涯をサクラに捧げた故・笹部新太郎氏の邸宅跡です。 故人の名前がつけられたササベザクラは、通称「新太郎桜」とも呼ばれ、茎や 花弁に毛が生えていることや、花中からシベを出すことなどから新種のサクラであると 確認されました。
惜しくも原木は平成10年枯死しましたが、目前の木は、その原木の取木苗を育成したものです。」 |
笹部博士が50歳の時に「桜に送る弔辞」という講演を行いました。
博士は近年、昔からの山桜より手間のかからないソメイヨシノが多く植えられ
日本国中にソメイヨシノが広がっていくことに非常な危機感を持っていたようでした。
「このままでは日本の桜は滅びる。
ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの交配によって江戸時代末期に江戸染井村で
吉野桜として売り出されました。
育ちやすいことから全国に広まりましたが、接木をすることでしか増やせない桜であり
100年を越えると徐々に枯れ始める木が多いそうです。
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そのようなことを新聞で読んだことがありましたが、 笹部博士は早くから警鐘を鳴らしておられたのです。 |
ササベサクラはカスミザクラとサトザクラ類との交雑種と推定されているそうです。 花弁は多く、美しい深みを帯びたピンクの色は、本当に素晴らしいです。 品のあるこの桜は魅入られてしまいそうです。
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博士の桜の研究は独学によるもので、コツコツといろんな文献で研究されたようで、西宮の
白鹿記念酒造博物館には収集した数々のコレクションが「笹部新太郎さくらコレクション」として
常設展示されています。
昭和35年、御母衣ダムの底に沈むはずだった樹齢400年の桜の老木の移植は世界植樹史上
例のない難事業だったようですが、今もダム湖のほとりで春になると美しい花を咲かせています。
このあたりをバスで通過したことがあったのですが、その荘川桜が満開の頃、行ってみたいと
願っています。
岡本、桜守公園。 |
2006.6.25記 |